metaSAN ホワイトペーパー その 12008/08/19
SAN ( ストレージ エリア ネットワーク ) は、増加するデータに対してストレージ資源の集中を実現し、より高性能で、柔軟性、拡張性に富み、経済性に優れたストレージアーキテクチャーとして、高い価値ユーザーにもたらしました。
ファイルレベル共有ファイルシステ ム
SAN とは、複数のコンピュータがファイバーチャネルとファイバーチャネル スイッチを介して接続さ れたストレージを共有するネットワークです。従来はコンピュータ個々にストレージを接続し、用途に応じた容量を専用に使用していました。こうした接続方式をDAS(ダイレクト アタッチド ストレージ)と言います。一方、1990 年代初期にファイバーチャネルトポロジーが業界で標準になると、高性能なRAID 装置で構築された高信頼性のストレージシステムを複数コンピュータに接続し、高速なデータ転送と、無駄のないキャパシティーマネージメントが可能になりました。ファイバーーチャネルでネットワーク(SAN) 化されたストレージとコンピュータが接続されることにより、数十メガからギガクラスの大容量のファイルをLAN で搬送することなく、直接アクセスすることができます。しかしながら、この集中化したSAN のストレージの利用はあくまでRAID 装置内部に設定された論理ドライブをSAN に接続されたコンピュータがローカルのドライブとしてマウントすることに限られ、複数のコンピュータから同時にSAN 内の論理ドラブをマウントし、アクセスすることはできませんでした。万一、複数のコンピュータから同時にアスセスをしようとすると、ディレクトリーが破壊され、データ消失という致命的結果をまねくこと になりました。
こうしたことから、1990 年代の後半、ハードウエアリソースとして複数のコンピュータから共有され たSAN ストレージ内部に保存されたデータを、SAN を共有するコンピュータから同時にアスセスすることを可能にし、より効率のよいデータ共有環境を実現できないかということからファイルレベル共有のミドルウエアや、ファイルシステムが開発されてきました。
SGI 社のCXFS、IBM 社のGPFS、ADIC 社のSNFS、Sanbolic 社のMelioFS、更には、Red Hat 社のGFS 等はWindows、Linux、Mac OS X のOS ネイティブファイルシステムに独自のファイルシステムを被せて、ファイルレベルの共有を実現しました。これらのユニークなファイルシステムはそれぞれジャーナリング機能やユーティリティーを付加して、ファイルシステムの信頼性や、使い勝手をより良くする努力をしてきました。しかし、何れのファイルシステムも、あくまで開発元の独自のフォーマットのため、システム上に不整合なことが発生し、ファイルシステムにダメージが起きた場合に、通常のOSに標準装備されているチェックユーティリティーや、復元ユーティリティーを使用して、データの復旧を試みることが難しいのが現状です。
ファイルレベル共有とは
ここでファイル共有、又は、ファイルレベル共有ということを正確に理解する必要があります。ファイルレベル共有はNAS( ネットワークアッタチド ストレージ) では当たり前のことですが、SAN のシステムが普及し始めて初期の頃は、ファイルレベルの共有の前にボリュームレベルの共有という方法が開発されました。SAN のストレージ内に構築された論理的なストレージ領域をボリュームと言いますが、このボリュームを複数のコンピュータでマウントし、ボリューム内のデータに
metaSAN について
アクセスすることができる様にすることです。ボリューム内のフォルダー、データに対してはそのボリュームをマウントしたどのコンピュータからもいつでもアクセスすることはできますが、そのボリュームにデータを書き込んだり、ファイルを更新する書込み動作は、1台のコンピュータに限定されて、他のコンピュータはファイルを更新したり、追加したりすることはできませ ん。
このボリュームレベルの共有に対して、より、細かいファイルレベルでの読み書きの制御をするのをファイルレベル共有といいます。ファイルレベル共有の場合はボリューム内の 複数のファイルに対する読み出しは勿論のこと、複数のファイルへの同時書き込みや更新を可能にします。
ただ、1つのファイルに対する書込みは同時に1台のコンピュータしか行うことができません。metaSAN は、このSAN アーキテクチャーの価値を更に増進するためにデザインされ、従来に無い、独自のアプローチでSAN ストレージを管理し、システムの信頼性と性能の向上を図りました。
metaSAN は独自のファイルシステムを使用しません。Windows またはMac OS X で充分その信頼性 が実証されたOS ネイティブのファイルシステム[NTFS(Windows)、または、HFS+(Mac OS X)] で初期化されたストレージをそのままファイル共有のボリュームとしてサポートします。SAN メンバーのコンピュータはSAN ストレージをOSと親和性の高いローカルディスクとしてマウントし、共有ストレージであることを意識せずにストレージにアクセスすることができます。metaSAN では、SAN ストレージのボリューム情報を定義するMetadata を管理し、SAN に参加しているコンピュータにサービスを提供するコンピュータをメタデータマスタと呼びます。metaSANは、このメタデータマスタに障害が発生した場合、利用可能なSAN内のコンピュータを利用して、直ちにサービスを引き継ぐフェイルオーバーのメカニズム( ダイナミックマスター アービトレーション機能) を実装しており、より信頼性の高い SAN ファイル共有の環境を可能にします。
metaSAN は広く柔軟にアプリケーションをサポートし、高速なファイル共有を実現し、SAN ストレージをコアにした、クリエイティブなワークグループのコラボレーション環境としての新しいスタンダードを 提供しました。【関連リンク】
・【製品紹介】高速SANファイル共有ソフトウエア metaSAN
・【導入事例】metaSAN/metaLAN 導入事例