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Storage Bridge Bayからの出発
〜SBB規格がもたらすストレージの未来像〜

2010.5.27 

SBBとは
SBBによるハードの標準化
iconSBB規格による内部バスの標準化
SBB規格によるストレージ製品
SBB標準化の示す未来のストレージ
iconRAIDコントローラ用CPUの動向
iconStorage Processer : Jasper Forest
iconSBB2.0とJasper Forest
iconSBB2.0からみえるストレージ製品
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SBBとは
SBBと言う言葉をご存知でしょうか?実は、ストレージ業界では広く知られた言葉です。SBBとは「Storage Bridge Bay」の頭文字で、ストレージハードウエアを低位なレベルで標準化した国際的な共通仕様のことです。
2006年3月、Dell、EMC、LSI、Intel、Xyratex 他、8社が集まり、エントリーレベルからミッドレンジのストレージにおいてJBOD[Just a bunch of disks (ストレージ筐体)]や、RAID装置製品等のストレージ製品の筐体各部品サイズの標準化、コネクターピンアサインの標準化など、物理的、電気的、低位レベルの仕様を提案するStorage Bridge Bay Working Group Inc.(略称、SBB)を立ち上げました。そこで決定された標準化仕様をSBB規格といいます。

SBBによるハードの標準化SBB規格 レバー
仕様標準化により、ストレージコントローラ等を設計するベンダは、迅速に、より高度なソリューションを提供できるようになりました。また、従来エンタープライズレベルのストレージに限られていた技術やソリューションを全てのストレージユーザが使用でき、より安価な利用ができることを目指しています。
右図はコントローラ、IOモジュールを安全に挿入するためのハンドルラッチ機能のラッチ部分を定めた図面です。SBB仕様では各社のIOモジュールやRAIDコントローラを安全に筐体に挿入し、筐体とIOモジュール、コントローラ間のピンーコネクターが安全に勘合することができるよう、挿入されたIOモジュールを筐体にラッチし、スライドさせるレバーを使用します。SBB1.0の規格ではこのレバーの先端にあるラッチ機構のコーナー半径や、フックの長さ等、細かい寸法を詳細に定め、筐体ベンダと異なるベンダが開発したIOモジュールや、コントローラでも物理的には接続できるように規定しています。

SBB規格による内部バスの標準化
ミッドレンジからエンタープライズレベルのRAID製品において2002年頃にはプリント基板を簡素化できるメリットから、内部バスがパラレルSCSIからFibre Channel に移行し、1GbのFC-AL (Fibre Channel Arbitration Loop)が内部インタフェースに実装される様になりました。
2004年、業界ではSAS(シリアルアタッチドSCSI)というメタルケーブルを使用したインタフェースが標準化され、主にストレージ製品の内部インタフェースとして使用されるようになりました。SASインタフェースは3Gbのバンド帯域を持つバスが4レーン分が1つの物理インタフェースを構成し、合計で12Gb/秒のデータを転送することができます。また、FC-ALと同様にデュアルチャンネルをサポートしていますので、ストレージ内部バスのHA化を容易に図ることができます。
一方、SASインタフェースはFC-ALとは異なり、Expanderと呼ばれるスイッチ機能を持つデバイスに総てのノードが放射上に接続されるため、FC-ALの様に一つのノードの障害がループ全体の性能低下を引き起こす問題から開放されます。この為、現在殆どのミッドレンジからエンタープライズレベルのストレージの内部バスはSASインタフェースを採用するようになってきました。
SBB-1.0、 2.0ではストレージ製品の内部バスをSAS、FC、PCIeの3つの種類のインタフェースの仕様を大まかに定めていますが、実情を反映し大半はSASに関する記述にあてられています。SASインタフェースは今日3Gbから6Gbへの世代が交替する時期に当たり、2008年1月に発表されたSBB2.0ではSAS 6Gbの仕様が定義されています。

SBB規格によるストレージ製品
SBBワーキンググループの立ち上げとほぼ同時期に、EMCとNECはSBB準拠のエントリーレベルのストレージ製品を共同開発することに合意し、その2年後の2008年2月にEMCはCLARiX AX4というモデルを発表しました。 ホストインタフェースはFC 4Gbps の他に、1GbpsのiSCSIインタフェースを持ち、ネットワークメディアに対して柔軟に対応できるストレージ製品になりました。
一方、Xyratex社では2008年10月にOneStor Extensible Storage PlatformファミリーとしてこのSBB2.0仕様に基づくストレージ製品を発表しました。OneStorはモジュラー化されたSBBベースのアーキテクチャーを採用した上で、高いドライブ実装密度、SASホストインタフェース、インテリジェントなプラットフォームマネージメント、高効率電源仕様等、業界屈指の多用性と適合性を持つストレージ装置です。OneStorファミリーとしては 3.5”HDDを12台搭載する2U の SP1212、24台搭載する4U SP1424。更に2.5” HDDを2U筐体に24台搭載するSP1224があります。OneStor Storage Platform ファミリーは、ホストとの接続インタフェースや、筐体間の接続インタフェースを装備するIOモジュール、電源、冷却ファンモジュールがファミリーのどの筐体でも共通化されています。
2008年のSBB2.0の標準化仕様の発表までに、SBB Working Group への参加企業が43社にのぼりました。

SBB標準化の示す未来のストレージ
OSレベルでサーバの仮想化環境が整いつつある現在、ユーザデータの多様化や、非構造化によってストレージに対する要求はますます高まっています。
SBBの1.0仕様が発表された頃には、IDCや、ガートナー等の大手調査会社は従来の企業基幹システムで使われる構造化データに比較して、非構造型のユーザデータが今後数年間で大きく増大し、これらデータに対応して行く必要を訴えていました。特に映像や画像などのデータを高信頼、高性能、かつ、安価なストレージに保存し、どう再利用するかというテーマに対し、ストレージ業界はSBBという低レベルの標準化から急激に増大する非構造化データに対するストレージの姿を示して行く必要がありました。
SBB仕様に準拠し、ストレージ製品メーカはこのようなユーザシステム環境の急激な変化に対して新しいストレージ提案の準備を進めています。
次回、近未来でのストレージの形について予想してみます。

jipe-ji 
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【関連リンク】
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