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仮想化ストレージとpoolIt

2009.11.30

アイコン仮想化ストレージ技術とは
アイコンSNIAでのStorage Virtualizationの定義
アイコンストレージ仮想化技術がもたらすもの
アイコンpoolIt紹介: poolItの仮想化ストレージ構造
アイコンpoolItのポリシーベースマネージメント
アイコンpoolItが解決するITの課題
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仮想化ストレージ技術とは

クラウドコンピューティングへの関心が高まるにつれ、近年、ストレージの仮想化(Storage Virtualization)や 、ストレージプールといった話題が取り上げられる様になってきました。Googleや、Amazonが提供するストレージサービスはまさにクラウドコンピューティングとストレージの仮想化に基づいたサービスですので、関心の高いテーマであるに違いありません。

SNIAでのStorage Virtualizationの定義

ストレージの代表的な業界団体であるSNIA(Storage Network Industry Association) において、Storage Virtualizationの標準化提言が行なわれています。その提言の中のストレージ仮想化モデルに関する定義によると、 ストレージ仮想化モデルは、下図の様に4つのレイヤにおいて構成されると定義されています。

SANIAストレージ仮想化モデル

レイヤ1
ハードディスクに代表されるブロックレベルのアクセスが可能なストレージデバイスを統合し、仮想的に大きなブロックレベルディバイスの領域を構成します。このレイヤにおいてはストレージ専用のコントローラやサーバで、複数のストレージデバイスを仮想化し、一つの大きなストレージにみせる技術です。
レイヤ2
ストレージディバイスの上位のレイヤで仮想ストレージを構成する技術です。このレイヤはSANを含むストレージデバイス、そのストレージデバイスから提示される仮想論理ストレージ、そのストレージをマウントするホストシステム、および、ネットワークから構成されます。
レイヤ3
更に上位でファイルシステムを仮想化することで、GoogleのGFSに象徴されるようなブロックアドレスが仮想化されたファルシステムとデータ配置を管理するメタデータ用データベースに基づいたクラウド型の仮想ストレージモデルです。
レイヤ4
アプリケーションはSINAでの一方の重要な仮想化ストレージのインタフェースを規定しており、Webベース等でのストレージに対するアクセスに関するAPIが公開されつつあります。

ストレージ仮想化技術がもたらすもの

以上のストレージ仮想化モデルによる仮想化技術は、 各レイヤ毎に存在するストレージ技術=ベンダーにより、 多くの、異なるタイプ、アプローチやレベルが存在することが可能です。例えば、Host側に含まれるアプリケーション、OS、HBAによる仮想化ストレージや、ネットワークに含まれるスイッチ、ルータ、ゲートウエイベンダーによるストレージ統合による仮想化、ストレージに含まれるArray装置、ライブラリー装置その他のデバイスのベンダーレベルでの仮想化ストレージ装置等です。
これらの各レイヤ毎の仮想ストレージモデルにより、ホストに対して物理的パス、デバイスの仕様、データの物理的配置場所などを見えなくし、データの保存領域を提供します。こうしてアプリケーションに対して通常のストレージと同様、透過的であることにより、稼動中のシステムを停止することなくストレージを再構成したり、ホスト環境に対して動的にデータ保存場所を再配置場所することを実現します。
これらのストレージ仮想化によりITユーザが持つ課題に対し、多くのソリューションを提供することができます。

例えば、
・計画、非計画のシステムのダウンタイムを大幅に削減
・増加するストレージアセットに対しする容量、投資コスト、煩雑な管理コストの削減
・負荷分散、マルチパッシング等による性能向上
・ダイナミックなデータ配置
・ストレージポリシーとプロシージャの簡素化
・ストレージサービスのデリバリーと品質の向上

このように、仮想化ストレージにより実現可能なソリューションと考えられます。

poolIt紹介
poolItの仮想化ストレージ構造

さて、本書では以上ご紹介した仮想化ストレージ製品のレイヤ1、及び、レイヤ2に相当するソフトウエア製品をご紹介いたします。弊社が国内ディストリビュータとして予てより販売サポートを行なっているmetaSAN/metaLANの開発元であるTiger Tech社が長年の開発を経て、本年秋にリリース開始したpoolItです。
poolItはローカルの内蔵、外付けハードディスや、SANストレージ、更には、ネットワークストレージ等の複数のファイルシステムを結合し、オペレーティングシステムとそこで稼動する総てのアプリケーションに対して透過的な1つの統合されたファイルシステムとして、仮想化ストレージ空間を提供するミドルウエアです。
poolItは既存のローカルストレージやネットワークストレージを統合し、総合的なストレージ容量を安全に使用すつことを可能にします。また、ストレージの統合、仮想化の為に、リフォーマットや、ストライプ、スパンニング等の処理をすることなく、迅速に且つ、簡単に仮想化ストレージボリュームを構成することができ、新たなストレージディバイスやファイルシステムをpoolItのストレージプールに簡単に追加することを可能にする仮想化ソフトウエアです。
下図の様に、poolItが実現する仮想ストレージボリュームはSAN、DAS、USB DiskなどWindows上でローカルボリュームとしてマウントされているストレージだけではなく、他のサーバが提供するSMB/CIFSのネットワークボリュームを同じ仮想ボリュームのメンバーにすることができ、システム上に複数のドライブをマウントする必要性を低減します。下図はpoolItの仮想ストレージボリュームの概念構成です。

仮想ストレージボリュームの概念構成

poolItのポリシーベースマネージメント
poolItは仮想化ストレージをポリシーベースで管理し、データのロケーションを常に最適かすることができます。poolItの仮想ストレージでは以下の最適化を行ないます。

  1. プールを構成するストレージボリュームを優先順位付けに基づき階層化し、プライオリティーの高いメンバーボリュームからデータを配置を行ない、無駄の無いストレージプロビジョニングを行なうことが可能です。
  2. ストレージプールに参加するストレ—ジボリュームを簡単に追加したり、取り外すことができます。追加ボリュームのデータはポリシーベースで最適な場所にダイナミックに移動することが可能で、取り外したストレ—ジ内のデータはそのまま維持されます。
  3. ストレージプールに書き込まれるデータをポリシーによって指定されたフォルダー位置(メンバーボリュームを指定)や、ファイルタイプに従って、仮想ボリューム内のメンバーボリュームの所定場所に保存することができます。
  4. ファイルの使用頻度、時期に応じ、仮想ストレージ内のメンバーストレージ階層間でダイナミックに移動を行ないます。使用頻度の高いデータを高性能メンバーストレージに配置し、頻度の低いストレージをニアラインストレージに自動的に配置することが可能です。

poolItが解決するITの課題
以上のポリシーベースによる仮想化ストレージにより、従来ITユーザが直面していた以下の様な種々の課題を解決することが可能です。

  • 急激なデータの増加に対し、poolItの仮想化ストレージ技術により、自由なストレージ容量の追加が可能になります。
  • ストレージの増設、移行時に長時間サービスが停止する問題に対し、スムーズなデータ移行とストレージの削除を可能にします。
  • 従来IT管理者を煩わせていたストレージ毎の空き容量管理をストレージの仮想化統合により一元化することが可能です。
  • 部門、担当別のファイル管理、ストレージ管理 をpoolItのポリシーベースのストレージの最適化ポリシーにより、データ、コンテンツを配置し、管理を簡潔にすることが可能です。
  • IT管理者にとって大きな負担となる社内人事移動や、組織変更毎のストレージ変更は、poolItのポリシーベースの階層化ストレージ管理で対応が可能です。
  • サーバに接続するストレージボリューム数が増え、バックアップが煩雑で負担になっている問題にたいしても、poolItの仮想化ストレージプールにより、一元的にバックアップを取ることが可能になります。
  • 同様に、事業継続のためにデータレプリケーションに関しても、一元的な仮想化ストレージプールに対するレプリケーション同期更新を行なうことが可能になります。
  • 現下の厳しい経済状況でストレージ、ファイルサーバの予算が厳しくなってきています。poolitは既存ストレージを統合し、仮想化することで無駄のないスペース管理を可能にします。

以上、poolItの特長に関し、簡単にご紹介いたしました。弊社ではWindows 2008 R2に対応したpoolItサーババージョンのリリースの準備を進めております。2010年の年明けには皆様により具体的にご紹介する予定です。どうぞご期待ください。


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