poolIt概要
2009.12.21
1.poolItの基本動作
2.ストレージプールの作成と取外し
2-1ストレージプールの作成
2-2ストレージプールの解除
3.ストレージプールのマネージメント
4.poolItでのコンテンツ管理
5.poolItのポリシーベースのストレージ管理
5-1参加ファイルシステムのプライオリティー
5-2ポリシーベースのストレージプールの最適化
6.poolItが解決するITの課題
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「Storage Virtualization とpoolIt」でご紹介致しましたが、poolItの基本動作には下記があげられます。
- WindowsコンピュータにpoolItをインストールすることにより、そのコンピュータ上に仮想化ストレージ(ストレージプール)を構成することができます。
- Windowsコンピュータにマウントしている起動ディスク以外のハードディスク、SANストレージ、USBディスク、ネットワークディスク等のファイルシステムをダイナミックに増加させることが可能です。
- poolItはストレージデバイス自体を仮想化する代わりに、ネイティブなファイルシステムを包含する仮想的ファイルシステムを作成します。従って、ストレージプールに参加したメンバーのファイルシステムをプールから取り外すと、取り外されたファイルシステムはWindowsシステムのローカルボリュームとしてエクスプローラー上にマウントされます。
- ストレージプールはWindowsコンピュータ上のローカルドライブとしてマウントされ、それを構成する個々のファイルシステム内のファイル/フォルダをそのまま表示します。
- 新たなファイルシステム(ボリューム)の拡張はボリュームを追加するだけで可能です。仮想化の為のストライピングやフォーマットをする必要はありません。
- ストレージプールからプールを構成したファイルシステムを取外す場合も、データはそのまま保持され、取り外されたストレージに保存されたデータはそのままアクセスすることができます。
2-1ストレージプールの作成
2つ以上のファイルシステムがあれば、ストレージプールを構成することが可能です。図1は2つのファイルシステムVolume 1とVolume 2を使用し、ストレージプールを構成した例です。それぞれのボリュームに存在するデータはストレージプール上で統合し、マウントされます。
2-2ストレージプールの解除
ストレージプールを解除し、もとのファイルシテムとしてWindowsにマウントさせることも、簡単、且つ、安全に行なうことが可能です。図2はpoolIt Volumeを解除し、Volume 1、 Volume 2に分かれ、Windows上にマウントされるオペレーションの例です。データは元のボリュームにそのまま保存されています。
コンピュータがアクセスできるストレージが最低1つあれば、ストレージプールを作成し、マウントすることができます。作成されたストレージプールはコントロールパネルのpoolItウィンドウ上にリスト表示されます。リストには、poolの総容量、使用可能なスペース、その他ステータス情報が表示されます。(図3)ストレージプールのツリーノードが拡張されボリュームが複数ある場合も、各ステータス情報はを表示色を分けて表示されるので、管理が容易です。
poolItのコントロールパネルではその他に、
1.ファイルシステムの追加、削除
2.ストレージプールの削除
3.ストレージプールのマウント、ディスマウント
4.ストレージプール内ファイルの表示、検索
5.ストレージプール内データ配置をポリシーベースでの最適化
6.ストレージプールの定義ファイルのエクスポート、インポート等
7.ストレージプールでのイベントログ表示とファイルの保存
以上のメニューにより、高度なストレージプールの設定、運用、監視を行なうことが可能です。ストレージプールは一つ以上のファイルシステムから構成され、仮想的に統合され、一つのローカルドライブとしてマウントされます。OSやアプリケーションからはストレージプールを構成している個々のファイルシステムは認識されません。
プールへのデータ保存は、実際にはプール内のファイルシステムの一つに書き込まれています。容量は、プールに含まれている総てのボリュームが持つ総容量と同一容量です。poolItのストレージ管理は、ストレージプールに参加するファイルシステムに優先度を指定し、さらに、論理的な容量を事前に設定した上で行われます。この参加ファイルシステムへの優先付け、および、論理的な仮想容量設定により、ストレージプール内のファイルの配置や、容量の使用方法、更には、データのダイナミックなマイグレーションが可能となります。これらのストレージ管理はpoolItの独自のポリシー設定により、管理することが可能です。
5-1参加ファイルシステムのプライオリティー
ストレージプールに新たなファイルシステムを追加する場合、そのボリュームのプール内でのプライオリティーを指定します。プールへあるポリシーを適用する場合、このVolume Priorityが考慮され、Volume Pool内のそれぞれのMember VolumeをpoolItが区別することができます。例えば、高性能SAS ドライブを使用したストレージと、大容量SATAドライブを搭載したストレージを使用して、ストレージプールを構成することができます。通常、この場合はSASドライブを使用したファイルシステムを優先度1位のストレージと指定し、SATAドライブを使用したファイルシステムを二次的なストレージとして位置づけることができます。
5-2ポリシーベースのストレージプールの最適化
poolItにはストレージプールを有効に使用し、データ配置の運用管理をダイナミックに行なうことができる様ストレージプールにデータ配置のポリシーを設定することができます。ポリシーは以下の4つから選択することができます。
1) Fill-up policy:
プライオリティーの高いボリュームに書き込みを行ない、各ファイルシステム毎に設定された所定の容量が一杯になったら次の優先順位のボリュームにデータを配置するルールです。図5の様に優先度の高い順にデータを配置します。
2) Harmonize policy:
一つのフォルダ内のファイルを同一ファイルシステム内に納めて配置するポリシーです。ストレージプールとしては一つの大きなファイルシテムに見えます。Windowsフォルダを構成するストレージ毎に配置することで、ストレージプールの管理をより有効に行なうことが可能になります。(図6)
3) File Type policy:
ストレージプールを構成するファイルシステム内の各種ファイルタイプを、同一タイプのファイル毎にプール内の同じファイルシステム上に配置します。図7は右端のボリュームに映像ファイルを、真ん中のボリュームには音声を、左端のボリュームには書類ファイルを保存するように設定した図です。ホストからの書込みに対し、自動的に下図のようなデータ配置を行ないます。
4) Last Accessed policy:
ハイ・プライオリティーを持つプール内のファイルシステムにある使用頻度の少ないデータ(最近アクセスされた実績の無いデータ)を低いプライオリティーのファイルシステムに自動的に移動させることで、ハイ・プライオリティーにフリースペースを作ります。更に、プライオリティーが低いストレージに配置された使用頻度の高いデータをプライオリティーの高いストレージにダイナミックに再配置します。
以上、poolItにはプールを構成するストレージのプライオリティーとデータ配置のポリシーを設定することができます。poolItは、ストレージプール内で各ファイルシステム間の優先順位付け、データ配置のルール付け、データのマイグレーション等のストレージ管理の自動化を図ることが可能です。また、これらのポリシーを組み合わせることにより、更に、高度なストレージソリューションを実現することができます。
以上のポリシーベースによる仮想化ストレージにより、従来ITユーザが直面していた以下の様な種々の課題を解決することが可能です。
以上、Tiger Technology社が開発したpoolItの製品概要についてご紹介いたしました。poolItはWindows 2008 Serverに対応したバージョンが来年初頭に発売される予定です。ご期待ください。
- 急激なデータの増加:
poolItのストレージプールにダイナミックに新たなファイルシステムを追加することにより、簡単に、且つ、安全にストレージ容量を増加させることができ、急激なストレージ容量の増加に対しての対応が容易になります。- ストレージ増設、移行時のシステムサービス停止:
従来ストレージを増設する場合、長時間サービスを停止せざるを得ませんでした。しかし、poolItにより、殆どシステムを停止することなくスムーズなストレージ追加を可能となり、構成されたストレージプール内でのポリシー設定により、スムーズなデータ移行を可能とします。- ストレージ毎の空き容量管理:
従来、ストレージの資源管理、空き容量管理はシステム管理者を煩わしてきました。poolItによる一元化されたストレージプール内でのポリシー適用により、ファイルタイプ毎、ストレージの優先順位別、または、ファイルの使用頻度によるストレージの使い分け等により、より効率的なストレージ資源管理が可能となります。- 業務毎のファイル管理、部門別のデータ管理:
poolItのファイルタイプ別のファイルアロケーション、または、フォルダ別のデータ配置により、大容量ストレージプール内でルールベースで自動的なデータ配置が行なわれます。- ストレージボリューム数が増え、バックアップが煩雑:
poolItの仮想化ストレージプールにより、一元的にバックアップを取ることが可能になります。- ストレージ予算の削減:
現下の厳しい経済状況でストレージ、ファイルサーバの予算が厳しくなってきています。poolItは既存ストレージを統合し、仮想化することで無駄のないスペース管理を可能にすると同時に、一元化されたストレージプール内でのストレージ性能に応じた適正配置、データマイグレーションをダイナミックに行ない、経済的なストレージマネージメントを実現します。