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StorView "Statistics モニターの活用法"

2010.02.25

アイコンはじめに
アイコンLogical Drive Statistics
アイコンAccess Statistics
アイコンCommand Size - Alignment Statistics
アイコンRead-Ahead
アイコンCommand Cluster Statistics
アイコンまとめ
アイコンダウンロード

はじめに
XRS RAID ストレージには、ストレージマネージメントユーザインタフェース「StorView」がコントローラに実装されています。
StorView は、Internet Explorer やMozilla Firefox など標準的なブラウザーでグラフィカルに見ることができ、ブラウザー上のオブジェクトをクリックするだけで、高度なストレージの構成、SAN マッピングやシステムのモニタリングを実行することが可能な、操作に優れた便利なユーザインタフェースです。
ストレージマネージメントツールは、どちらのRAID メーカーもシリアルインタフェース経由や、ブラウザ経由で提供していますが、StorView は多くの統計情報に基づく優れたチューニング機能が備わっているのが特徴
的です。

StorView の初期画面

StorView の初期画面

 

StorView では、以下の設定や管理を行うことができます。

Array 構成設定 システム統計情報 (Statistics)
論理ユニット(LU)の設定 マルチパスサポート機能
LU のSAN マッピング イベント表示
コントローラ内部機能のモニタリング アドバンス設定 (fairness、パワーマネージメント)

2010 年1 月13 日のニュースリリースで、Xyratex 社製ストレージシステムが08 年度 OEM 市場でシェア1 位
になった事をお知らせしましたが、業界でも代表的な多くのOEM 客先がXyratex 製品を選ぶのも、StorView
の存在が大きなポイントになっているからだとといっても過言ではありません。
本稿では、StorView の様々な機能の中でも、ストレージのRead/Write オペレーションにおいて最適なパフォーマンスを引き出すのに役立つ「Logical Drive Statistics」の活用方法をご紹介いたします。

Logical Drive Statistics
Logical Drive Statistics (以下、Statistics という) は、全てのRead/Write コマンドをモニターし、各種統計を情報として集計します。この統計情報は、Statistics タブウインドウで確認することができ、ホストの負荷に対し、ストレージの設定を最適化することを可能にするツールです。
Statistics の統計データは、下記の6 項目があります。

1. Command Count
2. Command Alignment
3. Command Size
4. Read-Ahead Statistics
5. Write Clustering Statistics
6. RAID5/50/6 Write Statistics

これら統計データに基づき、それぞれのアプリケーション用ストレ—ジを最適な環境にチューニングすることで、 RAID ストレージにおける高いTCO を実現することができます。
以下より、Statistics の各メニューにある、統計、計算データのご説明と活用方法をご紹介します。

Access Statistics
Access

StorView のメイン画面から、Logical Drive Statistics をクリックすると、図1 の「Access」画面が開きます。 Access のペインでは、現在のRead/Write のデータ転送量をMB/秒で表示します。
このAccess データにより、現在ストレージ側がホストに対してどのぐらいのデータ転送量を提供している
か確認することができます。

Access Statistics

Access画面上段メニューで、参照したいLD/コントローラ/ポートが選択できます。
・ Select Logical Drive ・・・ Logical Drive(LD)の全てが選択できます。
・ CONTROLLER ・・・・ コントローラ 0 / 1の選択ができます。
・ PORT ・・・ ポート 0 / 1の選択及び、BOTHの選択で両方のポートが選択できます。

Access画面中段の「Read」、「Write」のメーターには、現在読み書きされているデータ転送速度を2秒間に一 回の平均値(MB/秒)にし、リアルタイムに表示します。この機能により通常見えにくいアプリケーション毎の Read/Write要求性能、および、実効的な転送性能を把握することができます。

Since Statistics were Reset
Access画面下段の「Since Statistics were Reset」は、統計データのバッファがクリアされてからの、ホスト
側Read/Writeのコマンド数と総データ転送量が表示されています。

Command Size - Alignment Statistics
Command Size

ホストからのRead/Writeコマンド要求の大きさを下は4KB以下のサイズから上は2MB以上のサイズまでコ
マンドサイズ毎にその割合(%)棒グラフで表示します。

Command Size - Alignment Statistics

図2 のRead では64KB の読み出し要求が中心ですが、全体の読み出しコマンドの20%が4KB 以下の読み
出しサイズになっています。一方、Write は64KB が全体の90%になっています。実際のアプリケーションでは
映像データの様に連続するデータの場合、64KB 以上の1MB や、2MB のコマンドサイズでIO される場合が
多くあり、アプリケーションがより効率的なRead、Write ができるよう設計されていることがわかります。
ホストからのRead/Write のコマンドの大きさに合わせ、RAID ストレージのArray ストライプサイズや、Chunkサイズ(Array 内のドライブに設定された論理的セクターサイズ)をより効率の高いサイズに設定することで、個別のアプリケーションに最適化されたストレージを設定することができます。


Alignment
図2 下段にあるAlignment の値は、ホストからのコマンドアサインによって決まります。ホストからのコマンドアサインは、IO の論理アドレスに依存しますのでストレージ側での調整は難しい事から、あまり参考になさらなくても結構です。
RAID コントローラにはキャッシュメモリーが搭載されています。XRS に於いてはコントローラ当り、1GB また
は、2GB 容量のキャッシュが実装されています。このキャッシュメモリーはWrite Back Cache、および、Read
Ahead Cache と呼ばれる書込み時に使用されるキャッシュと、読み出し時に使用されるキャッシュにセグメン
ト分けされ、RAID コントローラのコントロールに基づき有効に利用されます。

Read-Ahead
Read-Ahead (先読み) とは、ホストから要求された読み出し領域に続く領域を先読みし、先読み専用のキャッシュ領域に保存することです。これは、ホストから引き続き連続するデータ領域に読込みのコマンドが出された場合、ディスクからではなく既にキャッシュ上に保存された先読み済みのデータからデータをホストに返すことができます。このことにより実際のディスクに対するコマンドの処理時間等を省略することができ、ホストの処理時間が大幅に削減され、連続したデータの読み出しの高速化が実現します。

 

Sequential Command Interval

Sequential Command Interval
図3 上段のSequential Command Interval の値は、ホストからの読込みコマンドが連続する場合の数値を表
しています。Avg:2 は、平均2つのRead コマンドが連続し、2番目のコマンドは先読みキャッシュからデータをホストに返したことを意味しています。Max:11 は、Read コマンドが連続する領域のデータを読み込む様に指定され、結果として多くが先読みキャッシュからホストに返されたことを意味します。また、Interval のグラフはこれらの連続したデータに対するRead コマンドの間に、幾つ別の領域に対するコマンドがホストから発行されたかを表示しています。1 の値はコマンドが連続していることを意味し、2 はコマンドとコマンドの間に1つの別領域に対するRead、または、Write コマンドが挿入されていたことを示します。この棒グラフで、データアクセスのシーケンシャル、ランダムの比率が判断できます。

Readahead Command
Hit Rate

P.5 図3 下段のHit Rate の値は、キャッシュに先読みされたデータに対し、実際にホストからRead コマ
ンドが発行され、キャッシュから直接ホストにデータを返された確立を意味しています。この数値が高い
ということは連続しているデータが多くあり、先読みの効果があることを意味しています。


Efficiency
図3 下段のEfficiency の値は、ホストから要求されたコマンドに対し、キャッシュから直接ホストに返され
た場合の確立を表示しています。Efficiency の値は、大きい程、ホストが連続性の高いデータを要求し、
キャッシュが有効に機能していることを意味します。
以上の統計データからコントローラ内のReadAhead キャッシュの最適サイズを判断することができ、無駄の
無い、効率的なリード処理を実現することができます。

Command Cluster Statistics
Write バックキャッシュはホストからの書込みデータをメモリー内に一時収納し、ホストに対してはその時点で
書込み処理が完了した返事を返します。このことにより、ホストコンピュータは書込み処理から開放され、次
の処理にかかることができます。
一方、キャッシュに保存されたデータはRAID コントローラ配下のArray ディスクに書込まれる訳ですが、この
時点で次の書込みコマンドがキャッシュ内のデータと連続するブロックを指定している場合、RAID コントロー
ラは前のコマンドと次のコマンドを一つにして一度にディスクArray に書込みます。このように複数の書込み
コマンドを一つの書込みコマンドにすることをWrite Command Cluster と言います。このことはRAID-5 や、
RAID-6 で冗長化が図られているRAID 装置においては複数回のRAID 冗長化処理を一回で終わらせること
ができ、データ書込みに於いて大きく効率化を図ることができます。

Write Cluster Rate

Write Cluster Rate
P.6 図4 上段左のWrite Cluster Rate に表記されている値は、ホストからのWrite コマンドに対し、コントロ
ーラのWrite バックキャッシュ内でディスクに書込む前に複数のコマンドを束ねてディスクに書き込ませた
率です。95%の値は、書込みコマンドがディスクに書込む時、複数のコマンドとして束ねられ(クラスタ化)、
一つのWrite コマンドで書込まれたことを意味します。


RAID 5/50/6 Full Stripe Write Rate
P.6 図4 上段右のRAID 5/6/50 Full Stripe Write Rate は、ホストから要求されたWrite コマンドがクラスタ
化され、さらに、Array のストライプサイズ(パリティーを除外したArray のドライブ台数 x Chunk サイズ)に
匹敵する書込みが行なわれた確立を示しています。Full Stripe Write は1回のパリティー演算で多くのデー
タを一度に書込むことができるので、書込み動作の大幅な効率アップを図ることができます。


Command Cluster Interval
P.6 図4 中段のCommand Cluster Interval は、ホストからのWrite コマンドがコントローラのキャッシュ内で
クラスタ化された場合の連続度合いを示しています。
Interval 1 とはコマンドとコマンドの間に他の領域へアクセスするコマンドが割り込まなかったことを意味し、
2 の場合は1つのコマンドが他の領域へのアクセスを指定したことを意味します。従って、Interval の値が
小さい場合はデータの連続性が高く、大きい場合はランダム性が高いことを示し、ストレージにとっては厳
しいIO パターンであると言えます。


Command Cluster Count
P.6 図4 下段のCommand Cluster Count は、ホストからコマンドがキャッシュ内でクラスタ化された、平均
(Avg)の個数と最大(Max)の個数を表しています。連続するデータ書込みが大きく、Write バックキャッシュが
大きい場合、このCluster Count は大きくなり、効率的な書込みが行なわれたことを示します。

まとめ
アプリケーションには様々なIO のパターンがあります。高価で高速なストレージを購入したとしても、効率よくRead/Write が行われていなければ、せっかく投資されたストレージシステムが無駄になりかねません。
XRS RAID ストレージ製品のStorView のStatistics ツールを使い、様々なオペレーションシステム環境がどのよ
うにアクセス要求しているのか調査した上で、システムを組み、構成することで、アプリケーション毎の効率化が計れ、より高いTCO を実現できるものと考えています。
ストレージシステム側とオペレーティングシステム、アプリケーション側の情報を可能な限り知ることでお客様のワークフロー環境を可能な限り最善に構築させていただくお手伝いができるツールとしてご利用いただければ幸いです。
XRS RAID ストレージ製品をご検討されたいお客様は、弊社にてご用意しているラボルームをご予約いただき、
貴社のオペレーションのワークフローがどこまで効率よく改善できるかテストいただくことも可能です。

【関連リンク】
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