大容量ストレージ XRS F5404Eが選ばれる理由
2010.10.28
1. ドライブ実装密度で比較するF5404Eと一般的なRAID装置
2. ランダムI/Oに強い
3.最大96ドライブまで拡張
4. データロスのリスクを最小限に
5. 冗長化された冷却ファン内蔵電源ユニット
6. AC-DCの変換効率80%
7. HA構成を簡単に
8. 省電力化
9. 実績からみた F5404E
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1. ドライブ実装密度で比較するF5404Eと一般的なRAID装置
通常のRAID装置の場合、19インチラック2Uサイズに12ドライブ、3Uに16ドライブ、または、4Uに24ドライブのスロットを持つ製品が現在の標準ドライブ実装密度です。19インチ・ラックスペース1U当たり3.5”ディスクドライブが6台、2TBのストレージを使用した場合で12TBになります。
また、他社製の大容量RAIDストレージと呼ばれる製品は4Uで42ドライブ、 1U当たりの実装密度で10.5台になります。F5404Eは4Uで48ドライブ、1U当りの実装密度は12TBと、通常のRAID製品より2倍のドライブ実装密度で、2TB ディスクの使用で約100TB のボリューム容量を可能とするストレージです。ラックスペースはデータセンタを使用される場合、切実な問題です。通常大都市でのデータセンタの19”ラックのコストは月額50万円程度となり、1U当たりのコストは月額1万円以上にもなります。大容量RAIDストレージは大きなボリュームの作成を可能にすることは勿論ですが、数百ギガバイトを超える大容量のデータの出し入れの性能も容量に比例してスムーズでなくてはなりません。F5404Eは以下の性能を持っています。
シーケンシャルデータの読み込み 900MB/sec シーケンシャルデータの書き込み 805MB/sec ランダムの読み 575MB/sec ランダムの書き 140MB/sec 1秒間のI/O 最大約75,000 IO/s *上記の各値は2つのコントローラに個別にLUを割当、IOをさせた場合の合計のデータ転送量、IO数です。
上記性能データでは、シーケンシャルデータの読み書きは4Gb FC のほぼ最大の帯域までデータを転送することが可能です。また、優れたランダムでのIO性能は、多くのクライアントを持つファイルサーバにおいて不可欠な要求性能といえます。
3.最大96ドライブまで拡張
F5404Eは内部バスにSAS(Serial Attached SCSI)が採用されています。そのため、SATAを使用したバスに比較して、より高度なコマンド体系をサポートし、SASアーキテクチャーに採用されたExpanderという、P2Pでのハブ構成のメリットを最大限に利用することができます。この結果、F5404E内部に1台から48台のHDDを搭載し、更に、RS-4835拡張筐体をSASの外部ポートにカスケード接続することで、最低3台のドライブを使用してRAID-5を構成するか、または、5台のドライブを使用したRAID-6のアレイを構成から始め、最大96台のドライブを使用したストレージ構成まで必要に応じて容量を拡張することができます。また、その間データを退避する必要はありません。4. データロスのリスクを最小限に
F5404Eと一般的なRAIDストレージではドライブの実装密度に差があります。通常のストレージではドライブとドライブの間隔が最少で5mm程度確保されています。一方、4UのF5404Eの場合、ドライブ間の隙間はその約半分の2.5mmです。そのため、個々のドライブの回転、ヘッドのアクセスの振動が隣のドライブに伝わらないようにする必要があります。Xyratex社が開発した F5404Eの場合、独自のドライブマネージメントシステムで個々のドライブ振動を吸収するメカニズムを採用し、システム全体の信頼性を確保しています。
大容量RAIDストレージの信頼性は言うまでもありませんが、数十テラバイトのデータにを安全に保存し、万が一のデータロスのリスクを最小限にする必要があります。その為、高い冗長性が求められます。 F5404Eのコントローラを含む総ての部品が冗長化されていることはもちろんのこと、各ドライブからのデータパスも総て冗長化されています。
また、F5404EにはRAID-6の機能が装備されています。RAID-5の場合1つのアレイ内で同時に二つのドライブに障害が発生し、データが消失する確立は十万分の1程度ですが、RAID-6の場合1千万分の1の確立程度まで向上します。この高い安全性が大容量のデータを預けることができるストレージとしての必須の要件といえます。高密度にドライブを実装するF5404Eの様なストレージに関して、まず心配されるのは装置内部の排熱性能の問題です。F5404Eの場合、通常のストレージ1U当りのドライブ実装密度に比較して倍のドライブを搭載しているため、効率的な冷却システムがデザインされています。3基の冷却ファンシステムが電源ユニット内部に装着され、それぞれの冷却システムには二重化されたDCファンが装備されています。弊社でのテストでは三基の内一基のファンシステムを停止させ、1時間経過後に筐体内で最も風流の少ない部分にあるドライブの表面温度が55℃程度であったことを確認しています。この温度はメーカの限界とされる80℃からはなお25℃低い温度で、ドライブの寿命に影響を与える可能性はありません。
万が一冷却ファンが収納されている電源ユニットに障害が発生しても、冷却ファンのDC電源はバックプレーンを介して供給され続けるため、ファンは停止しません。また、実装されている冷却ファンには回転数が温度追従型の低騒音ファンが採用されており、 F5404E の背面部分で約75db の騒音に留まり他の大容量型のストレージ製品と比較して低騒音を実現しています。
6. AC-DCの変換効率80%
大容量ストレージには安定して稼動する為に大容量の電源が必要とされます。反面、近年データセンタでのエネルギー消費の削減が課題とされていることも事実です。AC-DCの変換効率の高い電源や、 DC-DC の電源ユニットの使用、変換ロスの少ない電源ユニットを利用することが求められます。
F5404EにはAC-DCの変換効率80%を超える450Wの安定化電源を3基搭載しています。万一、電源ユニットに障害が発生した場合でも、他の2つのモジュールからの電力供給で、安定して稼動を継続することができます。7. HA構成を簡単に
24/365 のオペレーションに対応可能とするためにWindowsの MPIO、Mac OS X のマルチパス、 LinuxのDevice Mapper等のストレージに対する高可用性機能がサポートされるようにになってきました。F5404Eはこれらのマルチパス機能に対応し、ストレージマネージメントユーザインタフェースのStoreViewより、Windows、 Mac OS X、 LinuxへのHA構成を簡単に設定することができます。。
8. 省電力化
現在、ストレージ技術としてMAID (Massive Array Inactive Device)と呼ばれる省エネルギー技術が確立され、大部分の大容量ストレージには実装されています。
F5404Eでは搭載されている最大96台のドライブの中から任意のドライブを選定してスピンドルの回転停止モードに指定することができます。これは、ホットスペアードライブ等、通常のデータ保存に使用されないドライブの回転を停止する機能です。また、アクセスされるArray単位にドライブ回転の停止、起動をポリシーベースで指定することが可能です。指定された時間に対象のArrayにアクセスが無い場合、そのArray全体を次回ホストからのアクセスまでドライブ回転を停止しすることができます。全ドライブの回転を停止した場合、最大約40%までの消費電力を低減することができます。また、定期的に回転停止中のドライブをスピンアップしチェックをしたり、停止中のドライブがホストからのアクセスに対応して迅速に起動することができるかを常に監視しています。9. 実績からみた F5404E
大容量RAIDストレージにはそれなりに高密度ドライブ実装を保障する技術が要求されます。この技術は一朝にはできるものではなく、経験と実績に基づく技術的な背景が必要になります。F5404Eの元となった4U 48ドライブ搭載の筐体はFC-FC RAID装置の筐体として2002年から出荷されて世界中に多くの出荷実績をもっています。更に、SASインタフェースを採用したF5404Eの世代になり、2008年北京オリンピックでは、100台余りのF5404Eが、北京空港や周辺のセキュリティカメラの記録用ストレージとして利用されました。【関連リンク】
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・【技術資料】大容量 RAID ストレージホワイトペーパー